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信州に暮らしてこそ、 広い世界が見えてくる現代アーティスト・小松 美羽さん

小松 美羽さん

信州に生まれたからこそ、今の自分がある

私は大学時代、就職活動をしたことはありますが、実際に就職したことはないんです。ただ、画家になるんだと心に決めていて、そのためにさまざまな人たちと接する中で、今も私を支えてくれている多くの人に出会った。画家になるための試験とか面接などはなかったけれど、自分がなりたいものに向けて「縁」を結んでいったという点では、就職活動と近いものがあるのかもしれませんね。

絵を描くことが好きで、画家になりたいと思い、実際にそうなった私ですが、学校での美術の成績は正直言って、それほど良くはなかったんです。大事なのは「自分は絵を通じて何を表現したいのか」。その点で私には、幼いころからの経験が自然に「表現したいこと」につながっていきました。

四季の移ろいとともに姿を変える山々、ちょっと怖さも感じるような千曲川の流れ、神社の厳かなたたずまい…。幼いころに経験したり、感じたりしたことが、今も表現の核にあります。間違いなく、信州に生まれたからこそ今の私がある。そのことにはいつも心から感謝しているんです。

世界に伝えたい日本文化の懐の深さ

例えばよく私が作品のモチーフにしている狛犬は、実家の近所の坂城神社で、その独特な造形に心引かれたのが始まりです。狛犬は、エジプトやメソポタミア、インドといった地域に源流を持ち、中国、朝鮮半島を経て日本に伝わったものです。思えば私は、幼いころから信州で、世界の文化や、それを巧みに取り入れた日本文化に接してきたんですね。

「大和力(やまとぢから)を世界へ」。これが今の私のメインテーマです。世界中のさまざまな文化を吸収し、融合させた「地球文化」とも言える日本文化を、私の作品を通じて 世界のさまざまな国や地域の人たちに見てほしい。私の作品の中に、自国の文化があることを感じてもらい、さまざまな文化の融合で人の心を動かすものができることに気付いてもらえたらいいなと思っています。今の世界で、もつれた糸のように複雑に絡み合った問題が多少なりともほぐれるきっかけにもなれば、とも思うんです。

これだけ大きなテーマなので、絵だけではなく、陶芸など他の表現手法にも取り組んでいて、表現の幅はこれからも広がっていくと思います。そしていずれは、行動範囲ももっと広げ、地球上のさまざまな場所を自由に行き来したいと思っています。今はいろいろな理由があって東京を拠点に活動しているのですが、自分自身のイメージを高めたり、制作する上で、思いのままに違った場所の空気に触れたいんです。

ふるさとでしか養えない、「見えないものを感じる心」

ただ、そういう暮らしになったとしても、ふるさととの行き来は欠かせないでしょうね。今も坂城にはたびたび帰っていますし、将来は生活の拠点にしたいと思っています。私にとっては、魂が落ち着く場所。自分の根本にある場所。何よりも感性が大事な仕事ですから、そういう場所は絶対に必要なんです。

感性を磨き、常に新しいものを生み出していく上で、私は「第三の目」を大切にしています。眉間の少し上あたりに、もう一つの目があって、実際には見えていないものに、何かを感じ取る―そんなイメージでしょうか。私の場合、自然の中に何かスピリチュアルなものの気配を感じて、それが創作に結び付くのですが、これを感じ取るのが「第三の目」。この目を敏感にしてくれるのは都会ではなく、ふるさとの信州しかないな、と私は思っています。

こういう感覚が必要なのは、何もアーティストに限らないはず。どこかに勤めるにせよ、自営で働くにせよ、自分の仕事を充実させ、人生を豊かにするためには、多かれ少なかれ「目には見えないものを感じて、大切にする」ことが必要になるんじゃないでしょうか。この冊子を手にする皆さんは、信州での就職を考えている方ですよね。皆さんが信州で就職し、暮らすことになれば、大都会で生活するよりも広い世界が開ける可能性が高いのではないかと私は思います。

  • 小松 美羽さん現代アーティスト
  • 1984年長野県坂城町生まれ。2004年に女子美術大学短期大学部を卒業。学生時代に手がけた銅版画「四十九日」が高く評価されて話題を集める。2014年に出雲大社に絵画「新・風土記」を奉納し、拝殿に展示。同年、長野県の上田市立美術館にて個展を開催する。2015年、庭園デザイナーの石原和幸氏の「江戸の庭」に制作した有田焼の狛犬「天地の守護獣」がイギリスの大英博物館に所蔵。2016年、ニューヨーク日本クラブで行ったライブペイント作品がワールドトレードセンターに常設展示される。現在は東京と長野に拠点を置き、ニューヨークや香港、台湾などで個展の開催や世界のアートフェアに出品するなどワールドワイドに活躍中。
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