
10月28日に長野県立大学で行われた「シャチョー!とミーティング」をレポートします。
“シャチョー”(=長野県内企業の経営層等の皆さん)をお迎えして、近い距離間、カジュアルな雰囲気でいろいろなお話ができるイベント。当日は、伊那食品工業株式会社元取締役会長の井上修さん、高島産業株式会社代表取締役社長の小口武男さん、NiKKi Fron株式会社代表取締役社長の春日孝之さん、日本銀行松本支店支店長の真川伸樹さんの4人が登壇しました。
時代が変化する中、シャチョーはどのような道を歩んできた?
まずは4人が自己紹介。その後、パネルディスカッションが行われ、登壇者がそれぞれ、自身の学生時代を振り返ったり、会社の現状や取り巻く状況について考えを話したりしました。
井上さん
「私の学生時代はちょうど学生運動があった頃。皆さんは学生運動、知っていますか?当時から時代は随分変わって、皆の考え方も変わった。今回の参加者は文系の方が多いと思うが、今はもう、わが社では文系理系というのは死語になりつつあります。労働観は、社員皆が横一線という状態だと感じています」
伊那食品工業株式会社元取締役会長の井上修さん
小口さん
「幼い頃から合唱が好きで、ずっと一筋でやってきました。その道を目指したこともありましたが、親から大反対されてしまいました。でも、今でも合唱は続けています。指揮者としてメンバーをまとめ、舞台で披露するという経験は経営者になった今でも生きていると感じます。やはり何かに専念するということは、仕事にも役に立つ。仕事に対する姿勢や取り組み方などにつながっていると思います」
高島産業株式会社代表取締役社長の小口武男さん
春日さん
「私は大学は理工学部でしたが、3年生までは趣味とアルバイトに明け暮れていました。それでも英語だけは頑張って勉強して、海外展開する化学メーカーに就職。その時の経験は、今の会社に入社した直後に、タイに拠点を構える際に活かすことができました」
NiKKi Fron株式会社代表取締役社長の春日孝之さん
真川さん
「私は大学のゼミで指導してくれた先生と進路を相談する中で、『あなたの能力を伸ばせるのは金融業界だと思う』と言われたことがきっかけで、金融の道へ進みました。
自分で考えて悩んだり、迷ったりしたときは、信頼できる人に助言を仰いで受け入れてみてもいいかもしれません」
日本銀行松本支店支店長の真川伸樹さん
気になることは直球で質問!何でもラフに話せる時間
後半はグループディスカッションを行いました。4つのグループに分かれて車座で話し、20分経ったらチェンジします。
シャチョーと隣になることもあるなど、近距離で気になることをざっくばらんに聞ける機会。最初はちょっと緊張気味だった学生の皆さんも、少しずつほぐれて、和やかな雰囲気で進行しました。
それぞれのグループで聞こえてきた話をちょっとずつご紹介します。
Q. やりたいことが見つからない…
井上さん
「私は父が社長だったので、あまり考えなかったが…。迎合せずに見つかるまで探してみればいいと思う。
面接では自分の言葉で話すことが大事。就活生はだいたい「御社の〇〇に魅力を感じました」のように話すが、以前、「私は入社したらその魅力をさらに磨き、もっと良い会社にする」と言った女性ががいて、やはり印象に残って、一緒に働きたいなと思いました」
Q. 今、やりたいと思っている仕事はあるが、ずっと続けられるか不安です
小口さん
「就活の際に『ずっとできるか』を考えなくてもいいのでは。まずはやってみればいいと思います。
仕事の内容はどんどん変わっていくし、技術者が変わると、会社全体も変わっていく。弊社のようなものづくり企業は、変化は強みになっています」
Q. 世代が違う人と交流するのが難しい。どうしたらいい?
春日さん
「仕事の話をしようと思うとなかなか難しいので、趣味でも何でもいいので“共通点”を探してみるといいのでは。私は相撲や将棋が好きだったので、それが接点になりました。
無理に合わせることはないけれど、例えば私の子どもは私がテレビで相撲を見ているのでいつの間にか詳しくなって、おじいちゃんとも話すようになった。父親が好きだったので…という感じで話してみるのもいいかもしれませんね」
Q. 金融業界に興味があるけど、向き不向きはありますか?
真川さん
「金融業界は、その時々の経済環境によって解決すべき課題が変わっていく。そういう意味では、社会の変化に敏感で、その解決に携わりたい人が向いていると言えるかもしれません。
学生のうちに簿記などの資格を取ろうという人もいるかもしれません。課題の解決に必要となる知識は時代とともに変化しますが、学んだ基礎知識は必ず活かせる時期があるので、良いと思います」
最後は4人が就活生に向けてエールを送りました。

井上さん
「皆さんは今、『この会社で社員として働きたい』と考えていると思います。でも、会社に入ったら、『もし社長だったらどうするだろう』という視点で仕事に取り組んでみてほしい。
こんなこと言うと怒られるかもしれないけど、社会の役に立つなんていうのは二の次。自分が没頭できるものがあれば、成長できるはずです」
小口さん
「今日は若い人たちと良い時間を過ごせました。私はこの先の未来、生き残っていくためには、自分が好きなことをどういうふうにやっていくかが鍵になると思っています。皆さん、やりたいことを大いにやって、それから大いに経験を積んで、それを糧にしていってください。期待しています」
春日さん
「皆さんと話して、自分の就活のことを思い出しました。面接試験で面接官からいろいろなことを聞かれますが、自分の将来や世の中のことなど、普段からよく考えていないと答えられないですよね。今日みたいな機会に問いの答えについて追求するようにしていくと、どんな世界でも頑張れるのではないかと思います」
真川さん
「こういうふうにお話をする機会があまりないので、今日は私自身も非常に刺激をいただきました。皆さん、よく考えているなと感じました。なので、自信を持って自分のキャリアを築いていってもらえればと思います。応援しています!」

今回の「シャチョー!とミーティング」では、学生とシャチョーが垣根なく語り合う中で、多様な価値観や生き方に触れる貴重な時間となりました。シャチョーの言葉には、自分らしく歩んでいくことの大切さが込められていました。
県では今後もさまざまな形で就活をする学生の皆さんに向けたイベントを開催していく予定です。











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